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高1 2次関数の重要性

高校1年生という時期は、数学Ⅰ、数学Aともに大学受験に向けての重要な考え方を身につける時です。今回は数学Ⅰの2次関数の重要性について書いていこうと思います。

2次関数の重要性

2次関数は高校数学の関数の基礎と言えます。しかし、「基礎」といわれているにも関わらず模試での平均点が非常に低いのが2次関数という単元です。そこでまず、皆さんは「基礎」という言葉にどのようなイメージを持っているのでしょうか?「基礎」という言葉を聞いて、大雑把に二つに分かれると思います。
①:「全てにおいて欠かせない、とても重要なもの」
②:「少し頑張れば誰でも出来るようになること」
中学生、高校生の中には、周りの大人みんなが大切だと言うから大切だとは思うけれど、実際には基礎だから簡単と思っている人が多いのではないでしょうか?事実、大人達が大切と言えるのは、彼ら自身のある程度の長い人生経験から得た教訓である場合も多いと思います。

私自身も中学生、高校生の頃は「基礎」という言葉を聞いたときに②のイメージを持っており、必然的に大学受験でかなり苦労しました。2次関数以外の関数問題を解くとき、少し難易度が上がってくると必ずといって良いほど2次関数で学んだ内容が登場してくるのです。そのような問題を解くたびに2次関数の重要性を思い知らされました。
どんな分野のどんな内容であっても、それを上手に扱えたり、着実に前に進んでいく人ほど、「基礎」が「全てにおいて欠かせない、とても重要なもの」という認識を強く持っている傾向があります。

以上のことをふまえた上で、2次関数がどのような単元であるかを見ていきます。

2次関数で新たに覚えなければならないもの

実は2次関数で新たに覚えなければならない式は、細分化しても4つしかありません。
1:平方完成
2:2つめの解の公式
3:判別式(便利で解答にもよく使われるので覚えた方が良い式)
4:グラフの移動の式(1年生のうちに覚える)
ただ、1、2、3は実質的には同じものといってもよく、既に中学の時の解の公式を作るときに登場している。
2次関数が得意な人ほど、1、2、3がどう繋がっているのかが解っていてその時々で最適な式を使い分けており、苦手な人ほど、1、2、3が全く異なる式に見えています。

2次関数の分量

代表的な参考書(青チャート、ニューアクションレジェンド、Focus Goldなど)では、数学ⅠAの例題数は320題前後です。そのうち2次関数の例題数は、場合の数、確率の単元と並んで、60題~70題となり最多です。
ここで次のような疑問が湧いてきます。
「新しく覚える式が少ないのに、なぜこんなに例題がたくさんあるのだろう?」
式の練習用の例題は多くとも10題前後です。では残り50題~60題は一体何の為の例題なのかというと、大学受験に向けて勉強するときに必要になるであろう考え方を身につける為の例題になっています。

2次関数の例題は高校数学全般に使える考え方のオンパレード

2次関数の例題の多くは、高校数学の考え方を身につける為のものです。ざっくり以下の6つを挙げてみます。
①:問題文の読み方、言い換えの仕方、記号の読み方(意味)を学ぶ為
②:グラフが動くイメージを持てるようになる為
③:条件の使い方、条件が伝えようとしているヒントを読み取る為
④:方程式、不等式とグラフの関係性を学ぶ為
⑤:置き換えで重要なことは何かを学ぶ為
⑥:2変数の問題の対処法を学ぶ為
これらは全て2次関数以降に繰り返し何度も出会う事になる内容です。そしてこれらの大切な部分を言語化し、(図形として)グラフで理解し、答えを出すための計算に繋げていく練習を行っていくことにより、次に繋がる知識と経験になります。

①~④は、ほぼ全ての数学の問題で考えるべき内容であり、全ては①の問題文の意味を把握するところから始まります。よって問題慣れをする前に必ず問題文の正確な理解をする必要があります。
よくある例として、「中間期末の定期テストなら大体解けるけれど、実際の入試問題を読んだりするとそもそも問題の意味がはっきり解らず何をして良いのかが判らない」というものです。しかし、「模範解答を読んでみると特に目新しことをしているわけではないので、なんとなくわかった気になる」のです。このようなことがよく起こるのは、問題文をきちんと理解したうえで慣れるために練習するという流れで勉強が出来ていないことが原因です。単元によっては、または単純計算などは慣れた方が早いという事もありますが、2次関数でそれを行うことは非常に良くないことです。2次関数は高校1年生の時点で十分に意味を理解することが出来る単元です。逆に言えば、2次関数を十分に理解しないまま先の単元に進んでしまうと理解しにくいものがどんどん増えていくことを意味しています。

③については多くの参考書で「基本例題」として載っており、確かに模範解答はわかりやすいものに分類されますが、「基本例題」であるがゆえに多くの人は③の重要性に気がついていない場合が多いです。入試問題で必ず出題される内容といってよく、正解と不正解の分岐点になることも非常に多いです。③は感覚的に当たり前だと思っているだけで、意識して当たり前になっていない人が多い内容と言えます。

④も大切ですね。方程式、不等式をグラフや図と関連させることは数学が得意な人は必ず考えており、関数問題は図形的な解釈が必要と認識しています。逆に数学が不得意な人はあまりグラフや図として考えず、関数問題は公式に当てはめて計算して答えを出すものと認識している傾向が強いです。この差が問題を解くスピードに大いに関わっており入試本番で制限時間内にどれだけ多くの問題に取り組めるか、時間的余裕は精神的余裕にも繋がるので計算ミスなどの頻度にも関わり点数に直結すると言えます。

関数が得意な人と不得意な人の違い

最後に、関数の得意な人と不得意な人の違いを考えてみます。高校入試のときもそうですが、関数の点数が高い人の特徴を一言で表すなら、
「グラフの中に答えが書いてあることを知っている」になると思います。つまり、答えを出す思考の過程に必ずグラフを利用した図形的思考が経由されているということです。
このように関数問題を処理できる人は、問題文とグラフと図形的知識と計算が全て繋がっているので理解度が高くなり、脳に強いネットワークが構築されるので記憶に残りやすくなります。(注意すべきは、図形問題の経験が豊富であることが前提となります。)

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